声劇『太宰治の憂鬱』台本執筆!声劇デビュー?


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管理人「一日の労苦」(金木小学校 太宰治「微笑誠心」碑)

2025/05/27

声劇とは?なんで私が台本を!?  

声劇とは?(出典:ボイストランド)

皆さんは「声劇」をご存知だろうか?
本サイトで太宰治イベント情報をチェックしている人なら、「ドラマリーディング」という単語に見覚えがあるかも知れない。
それは「朗読劇」とどう違うのか?と問われても、演劇全般に暗い私には明確な答えを持っていないが、ドラマリーディングも朗読劇も演者が台本を見ながら演じるのは共通で、朗読劇の場合は舞台上の動きはないが、ドラマリーディングの場合は(手に台本は持っているが)舞台上で動きながら演じる、といった違いがあるように思う(厳密には違うかも知れないし、どうも明確な定義があるようでもない)。
そこで「声劇とは何か?」と言えば、一番近いのはラジオで放送される「ラジオドラマ」を連想していただくと、非常に分かりやすいと思う。
ただ、私の世代では少年期から青年期にかけてラジオに親しんでいて馴染みがあるが、今の若い世代はラジオなんか聴かないだろうから、「ラジオドラマ」と言ったところで通じないだろうし、それに現在、ラジオを聴いてもラジオドラマはほぼ放送されていなかったりする。
ゆえに、知らない人に「声劇」を説明するのは非常に骨が折れるのだが、要は音声だけで演じる演劇だと思っていただければよろしかろうと思う。
もっと言えば、ツイキャスといった個人配信サービスや、YouTubeライブでの「演者が見えない」ドラマリーディング、または朗読劇で、特にBGMや効果音が無い劇が声劇だと思っていただければ良い。
現在はスマホアプリを中心に、いくらでも個人配信アプリとそのサービスがあるが、私は個人的に7~8年ほど前からツイキャスを利用したり、利用しなかったりを繰り返している。
一時期はOBS Studioを使ってツイキャスで配信していた事もあるが、配信のたびにネタを用意するのが手間だし、物理的に時間が割けないので配信はとっくにヤメてしまった。
リスナーとしても、周期的にツイキャスを利用したり離脱して利用しなかったりを繰り返していて、現在はツイキャスのリスナーとして利用している周期に当たる。
だが、今は「やっぱり、もういいか」と思っていて、そろそろ離脱する周期に入っている。
そんな折、とあるツイキャス枠でリスナーとして参加していると、そこでは企画(?)として声劇をやっており、初めて声劇なるものを何度か聴いた。
実際に声劇を聴いてみて、正直なところ「全然面白くない」と思っていた。
何故かと言えば、どんな内容の劇なのか、リスナーにはタイトルしか分からないし、誰が書いたか知れない創作劇だから、注意深く聴かなくては内容が入って来ない。
仮に声劇内容が頭に入って来ても、素人の創作劇の台本だから、内容が良いとは言えないし、演じているのも素人だから、二重に面白くない
どのみち離脱するからどうでもいいと思っていたが、簡単に言えばその枠で「文学の声劇台本を書いて欲しい」と依頼されてしまったのだ。
私はヒマではないし、声劇に興味もなければ台本なんて書いたこともない。当然ながら全力で断ったが、「太宰治なら」を条件に、全力で押し切られてしまった。
私としては面倒ながら、「これも経験としては面白いかもな」と思ったのと、いくつか聴いた声劇程度の台本ぐらいは書けるだろう、と思ったからだった。

文学を声劇でやる意味と意義  

声劇台本『太宰治の憂鬱』(「声劇台本置き場」投稿)

声劇の台本ってどんなモンだべ?」と思い、ググッてみると、思った以上に声劇台本がネットに溢れている。
その中で文学ネタの声劇台本を探してみたが、これが皆無なのに驚いた。
つまり、私としてみたらお手本になる台本がないし、試しに「声劇台本置き場」で台本を見てみたが、ピンと来るものが何一つない
いくつかの台本をざっと斜め読みしてみても、意味不明に近い創作台本ばかりで、軽くメマイがした
そもそも私には「演劇全般に全く興味がない」という理由もあるが、いくつか斜め読みした台本の「面白さ」が全く理解できない。
そこで、台本を書くに当たって次の方針とした。

  1. なるべく短い声劇の台本にする(長さとして10分程度)
  2. 上記 1. を踏まえ、台本の内容は太宰治の最晩年を取り上げる
  3. 上記 2. を踏まえると、事実をベースにした方が劇にリアリティがある上に、台本としても書きやすい

これならすぐに書けそうだし、台本の形式は声劇台本置き場にすれば、誰もが台本にアクセス可能だ。
つまり、声劇の演者もリスナーも台本を追いながら声劇を楽しむことが出来る。
早速、秀丸エディタを使ってテキストファイルに台本をバーッと書いて声劇台本置き場に投稿、投稿した台本を読みながら秀丸エディタで推敲しては修正を繰り返し、全部で約5時間ほどで完成させた。
最終的にルビを振ったり、ト書きを追加したりした完成形が、次の『太宰治の憂鬱』声劇台本だ。

上記の台本をツイキャスの枠主や台本を依頼した人に見てもらったところ、予想外に評判が良く、すぐに声劇としてやると言う。
そこで私が運営しているDiscordサーバ「SEの良心」で台本内容の説明をしたり、練習に付き合ったりしたが、やはり漢字がネックになるし、ほぼ文学作品を読んでいない人ばかりなので、台本に登場する作家の人名もおぼつかないのが分かった。
後で声劇台本置き場で台本にルビを振るやり方が分かったし、その後わりとすぐにト書きの書き方も分かったので修正したが、基本的に人名・地名・固有名詞・難読漢字にはルビを振ることにした(後に台本を追加執筆する際に原作が平仮名表記の場合、意味が分かりにくい部分はあえて漢字にし、ルビを振る等の工夫もした)。
声劇台本の執筆で思ったことをまとめると、次のことが言えるだろうと思う。

  1. 老いも若きも文学作品を読んでいる人はかなり少ない
  2. 有名な作家名や作品名は学校の国語の授業等に出てくるので、名前だけは知っている人が多い
  3. 上記 1. に関連して、声劇台本は創作モノばかりで文学を題材にした台本が皆無である
  4. 上記 2. を考えると、台本の執筆者が無名であっても、有名な作家名や作品名で興味を持ってもらえる可能性が高い
  5. 文学ネタや文学作品をベース(原作)に声劇をやることによって、演者はもちろんリスナーに文学に興味を持ってもらえる可能性がある

これらのことを考えると、私が文学ネタや文学作品をベース(原作)として声劇台本を書く意味があるし、ツイキャス等で声劇を主催する方もやる意義がある。
なにせ、まだ誰も手を付けずにやっていないというのがミソだ。
当初、声劇台本の執筆は『太宰治の憂鬱』を最後にして御免被りたかったが、これも「谷崎潤一郎なら」を条件にお願い倒されてしまって、書くことにして完成させた(これは丸1日ほどかかった)。
結果として、文学の声劇をやって行きたいとのことで、前述の意味と意義を感じていた私は賛成し、協力することにした。
現在のところ、全部で次の5本の声劇台本を執筆し、公開している。

上記表のNo1は私の完全オリジナルだが、それ以外は文学作品を原作に声劇として仕立てたもので、なるべく原作の良さを殺さない程度に省略して台本にしている。
本来なら原作を読んでその良さを堪能して欲しいところだが、今の日本人の圧倒的大多数がその程度の興味や関心がないのであって、事実、読む人が少ないのだから仕方がない。
また、台本タイトルが原作タイトルと同一ではないのは、原作の内容とほぼ同じだが全くの同一ではないためと、タイトルに声劇内容の意味を付加している意図がある。
文学作品を原作に声劇台本を執筆して気付いたが、短編作品をベースに声劇にアレンジするのは割と簡単で、短時間で台本にすることが可能であった。
これは原作の理解がなければ無理な話だが、原作が持つ名作の要素を声劇台本にすることが可能で、これは非常にコスパが良い
無論、原作の内容全部を声劇台本に盛り込むことは不可能で、だったら原作を読め!になってしまうから、その辺のコツは必要ではあるものの、原作の良さと奥深さが声劇として活きるように台本を執筆するというのは、これはこれで面白い。
ふと、大学の文学部あたりで、文学作品から声劇台本を書くといった実践的な授業をやり、実際に書いた台本で学生に声劇をやらせると面白いのではないか?と思った。
原作が持つ魅力とは何か、原作に込められた意図やメッセージは何か、それをどう声劇の台本と実際の声劇で表現が出来たか、大学の授業だけではなしに、こういった観点からディスカッションするのも面白いだろう。
そういった意味では、ありふれた読書会では面白くなく、文学声劇を通して作品を考察し、意味が分からない点や今とは違う時代背景等、お互いに知識や感想、それに意見を持ち寄って話し合うのは面白いに違いない。
例えばツイキャスで文学声劇をやった場合、こういったことが一度に出来るため、演者とリスナーが感想や意見を出し合って盛り上がることが可能だ。コラボにファシリテーター的な存在がいると、なお良いだろう。

声劇『太宰治の憂鬱』上演!反応はサッパリ?  

5月25日(日) 21:00 声劇『太宰治の憂鬱』上演(ツイキャス「コミュ」お知らせ)

私の本職はIT技術者(コードを書くSE)であるし、私の性格から言っても「表舞台に立つ」のが嫌いだし、そもそも私個人は有名になろうといった功名心がない。
ゆえに、声劇の台本は書いても、自分が声劇で演じるのは御免である。
ところが、声劇の上演10分前になって、突然津島修治役の演者が体調不良により出演不可になってしまった。
すでに上演は本サイトを含め、各種SNSで周知済みであるから直前になって延期するワケにも行かず、かと言って代役がいるワケでもなく・・・仕方なく、私が津島修治役をやるハメになってしまった。
まさか自分が出演するとは夢にも思っていなかったし、声劇なんてやったこともない。
急きょ山崎富栄役の演者と1回通しで合わせた程度で、いきなり声劇デビューしてしまった。
実際のツイキャス録音は次の通りだ。

私を含め、各自の音声レベルが合っていない上に、私のマイク音声が聞き取りにくい(というのが、今回初めて録音を聴いて分かった)。
急なトラブルのため、ツイキャス録音の最初からして段取りが悪くなってしまっているが、声劇を始める前に次のことをやることにしていた。

  1. 声劇台本名とURLをツイキャスコメントに入力する(リスナーが台本にアクセス可能にする)
  2. 声劇の配役をツイキャスコメントに入力する(誰が何の役をやるのかを事前にリスナーに知らせる)
  3. 声劇の前口上を述べる(ザックリとした声劇の内容とリスナーへのお願いを伝える)

上記はツイキャスで声劇を聴いていて、私が不満に思っていたことをクリアにするため、上記ツイキャス録音の枠主と話し合って決めた内容で、ともかく実行はした。
声劇台本の良し悪し、そして演技の上手下手はともかくも、自分たちで声劇の台本を作ってメンバーを集め、事前に声劇上演を周知して実行するという、一連のことを全てやってみたワケである。
私はそのメンバーの一人に過ぎないが、ネット万能でSNS全盛の昨今、様々な年齢と職業、多様な人間がネットを介して声劇をする、ということが可能であって、これはこれでひとつの新しい演劇の形でもあろう。
そして劇が終わればすぐにそのレスポンスを得られる点も大きく、演者もリスナーも楽しめるといったメリットが声劇にはある。
だから昨今は声劇が静かなブームになっているのでは、と愚考する。
とは言え、録音を聴いていただくと分かるが、仲間内からしかコメントがなく、上演時の反応はサッパリであった(残念)。

おわりに  

声劇はネットで仲間同士で楽しめ、それを一般リスナーに聴いてもらえるといった意味で、手軽な演劇(エンターテイメント)としての可能性がある。
そこで、本稿では声劇台本置き場に投稿する台本のテキストファイルの例を紹介してみようと思う。
具体的な台本投稿の方法は、次のサイトを参照して欲しい。

では、より具体的に『太宰治の憂鬱』の冒頭部分はどうなっているか、ルビとト書き、役のセリフの書き方が分かるように紹介してみよう。

声劇:*太宰治《だざいおさむ》の*憂鬱《ゆううつ》

0:1947年(昭和22年)~1948年(昭和23年) 冬 三鷹・山崎富栄宅(日中は修治の仕事場でもあった)

修治:私の名前は*津島修治《つしましゅうじ》。筆名を*太宰治《だざいおさむ》という、ちょっとは名の知れた作家だ。今、私は大いに絶望している。この日本に、この世の中に。戦争には勝てると思っていなかったが、天皇陛下を利用した軍部と政治家は常識のレベルにすら達していなかった。戦勝国のアメリカ、GHQは日本に土足で上がり込んで我が国を占領し、やりたい放題をしている。ひとつには農地改革と重税。これで私の実家は*田地《でんじ》を奪われ、資産のほとんどが没収された。長兄の*文治《ぶんじ》が戦後初の民選知事として立候補し、青森県知事になったものの、選挙違反の嫌疑をかけられた。それと、限度を知らないインフレ。これはひどい。酒や煙草は言うに及ばず、その日の食料すらままならない。何より我慢ならぬのは、私も若い時分に関係した共産主義者どもだ。戦後になって共産主義は非合法ではなくなり、GHQは投獄されていた共産主義者を開放してしまった。勢いづいた日本共産党は世論を煽り、天皇陛下を侮辱し、戦争責任と食糧不足、インフレを天皇陛下や政府のせいにしている。他人を利用することしか考えない共産主義者に何が出来る? 何もできやしなかったじゃないか。それなのに、何でもかんでも他人のせいにしやがって。

0:富栄、勤務先だったミタカ美容院から帰宅する

富栄:修治さん、こんなにお酒を召し上がって。*先《せん》だってもご*不浄《ふじょう》で*喀血《かっけつ》なさったばかりじゃないの。

上記の「修治」のセリフ部分は、そのまま改行をせずに続けて記述しているが、任意の場所で改行することが可能だ。
例えば、

修治:私の名前は*津島修治《つしましゅうじ》。
修治:筆名を*太宰治《だざいおさむ》という、ちょっとは名の知れた作家だ。

とすることが可能である。
ただ、この場合だとテキストを入力するのが手間であるのと、パソコンとスマホでは画面の解像度(大きさ)が違うため、任意の場所で改行が入るとスマホでは逆に読みにくくなる可能性がある。
この辺は演者さんの意見を聞いてみたいところだが、人によっては縦書き表示で台本を読むかも知れないし、ちょっと悩ましいところではある。
声劇台本置き場は、投稿した台本を修正するとヘッダ画像がクリアされて再度設定し直さなければならなかったり、投稿した台本ページのOGPとタイトル設定が仕様的にイマイチだったり、一部バグっぽい動きをする部分があるが、全体としては使いやすく、一番利用されているサイトのようだ。
すでに投稿されている台本を選んで声劇をやるのでも良いし、オリジナルの台本を執筆・投稿するだけでも良く、執筆した台本の声劇をやるのでも良い。または単にリスナーとして声劇を聴くのでも良いだろう。
楽しみ方は様々だが、声劇を知らなかった人は本稿を機に、ぜひ楽しんでみていただきたいと思う。

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